玄関ポーチの石を張り替えたい
アイビークラフトさんからご紹介で個人邸の改修工事のご依頼を頂き施工をさせて頂きました。その際の施工について記事にしていただきましたので紹介させて頂きます。
■当社施工記事
https://ivyrincs.jp/park/2020/10/13/poach/
■職人マッチングサービス
ivyCraft(アイビークラフト)β版|職人技を暮らしに届ける体験サービス
▼▼▼以下、アイビークラフトさんのブログ引用となります。▼▼▼
「自宅の玄関ポーチの石を張り替えたい。」
世田谷区にお住まいのMさんからご相談をいただきました。
お住まいを新築されて7年。新築時に張った玄関ポーチの石が白くなり、一部欠けているとお悩み。
すぐに現地を拝見すると、写真のような状態でした。
石工事の専門家に相談。
アイビークラフトの登録クラフトマンである、石の専門家メイソンケイズの角田さんに相談しました。
角田さんは、楽天出身という異色のキャリアの持ち主です。
角田さんに、無料の現地調査をお願いし、玄関ポーチの石の状況を確認していただきました。
角田さんによると、玄関ポーチに使われている石は、玄昌石(げんしょうせき)という石で、「スレート(粘板岩)」という石の中の1つの石種で、泥岩(でいがん)が層状に堆積した石とのこと。
堆積した層にそって薄くはがれるスレートは、屋根材や床材の素材として利用しやすいため古くから建材として使われてきました。濃いグレーの表面に細かい筋が波のように流れた肌合いをしていて、水に濡れるとより黒さが鮮明になります。吸水性が低いので汚れもしみこみにくく、耐候性に優れるので外装にも使えるため、玄関などにもよく使用されています。
Mさん宅も、玄関ポーチと室内の玄関床を、同じ玄昌石で統一して設えていらっしゃいました。
その玄昌石が、白華現象(エフロレッセンス)を起こし、写真のような状況となっているようです。
砂とセメントを使用して貼り付けた石材では、石材そのものや目地から白い粉(結晶物)を析出することがあり、この白い粉を白華現象(エフロレッセンス)と呼びます。
この白華現象(エフロレッセンス)は、空気が乾燥しやすい冬の時期に発生しやすくなりますが、一度、発生すると継続的に発生し続けるようです。
アイビークラフトの活用方法。
アイビークラフトの活用方法は様々です。
1.材料等をすべて自分で用意し、施工方法を教えてもらう、手伝ってもらう。
2.材料等をすべて自分で用意し、施工の部分をクラフトマンにお願いする。
3.材料の手配も含めて、すべてお願いする。
依頼に対してクラフトマンに支払う報酬は、クラフトマンの拘束時間や手間が少ない「1」が一番少なく、「2」、「3」と順に多くなっていきます。
「自分がどこまで手間暇をかけて関わるか?」
「自分がどこまでであればできるのか?」
「予算をいくらにするか?」
アイビークラフトは、それぞれの依頼者の方のご意向やご事情に応じて、上手に使い分けて活用することができます。
今回のご相談では、Mさんのご意向で、石やタイルの調達を含めて角田さんにお願いしたいとのことでした。
石などの調達は、専門業者の方が、一般の方よりもいいものを安価に仕入れることができます。
玄昌石(げんしょうせき)から黒御影石に張り替え。
現在の玄昌石(げんしょうせき)は風合いがあり、お住まいの外観にとても合っているのですが、また何年か後に、今回と同じように欠けてしまったりする可能性もあります。
湿気や水捌けなどの環境や条件により、同じ素材でも対候性や耐久性が異なってくるからです。
おそらくこの場所は、環境的に白華現象が生じやすい場所なのでしょう。
現在の玄昌石(げんしょうせき)を再度採用するか、他の石材に変更するか、タイルにするか、Mさんと角田さんとで協議しました。
玄昌石(げんしょうせき)では、同じ現象が生じる可能性があるため、見送ることとし、タイルは白華現象(はっかげんしょう)の原因となるモルタルのみで施工するため、別の石材を選定する方向になりました。
Mさんのご希望としては、色は黒かグレーにしたいとのことで、角田さんのご提案により、黒御影石を採用することに決定。
黒御影石は高価な材料ですが、石の専門である角田さんにお任せすれば、いい石を仕入れてくれます。
工事は3日間。まずは解体。
張り替える石種が決定し、施工金額のお見積もりもMさんにご確認・合意をいただき、工事に着手です。
気候がよい5月末の3日間で施工。施工日は3日間とも快晴でした。
初日は既存の石の解体工事に伴い、音やほこりが発生するため、きちんとご近所さんにご挨拶をされていました。
最初はハンマーなどを使って、既存の玄昌石(げんしょうせき)を1枚ずつ剥がしていきます。
簡単に剥がせない箇所は、電動ドリルを使って剥がします。
剥がした後の状態を見ると、ここ数日間は、雨は降ってなかったのですが、石の裏や隙間は濡れていたりと湿気がある状態でした。
また、しっかりと接着できてないため、隙間が空いている状況でした。
玄昌石(げんしょうせき)を剥がした状態で、Mさんに丁寧に現在の状況とこのようになってしまった原因のご説明をされていました。
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石工事の道具-ivyCraft -
解体前の状況-ivyCraft -
解体に使う道具-ivyCraft -
ハンマーで剥離-ivyCraft -
石の下は湿気-ivyCraft -
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剥がした玄昌石下地-ivyCraft -
剥がした玄昌石裏-ivyCraft -
剥がした状況の説明-ivyCraft
表面の玄昌石(げんしょうせき)を剥がし終えると、躯体の上のモルタルの層の解体を開始。
ドリルを使って、根気よくモルタルを取り除きます。
かなりの振動と、埃や音が出る作業。
Mさんから差し入れのコーヒーを頂きました。
綺麗に剥がし落とし、躯体があらわになった段階で、Mさん夫婦に今後の作業のご説明。
仕入れた石を仮置きし、イメージを共有していただきます。
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ドリルで解体-ivyCraft -
ドリルで解体-ivyCraft -
躯体の鉄筋-ivyCraft -
モルタルを剥がし落とした状態-ivyCraft -
今後の作業の説明-ivyCraft -
差し入れのコーヒー-ivyCraft
いよいよ石の施工。
角田さんが仕入れてくれた石は、MADE IN ITALYの高級黒御影石。厚みとサイズとクオリティを考慮し、厳選した石を持ってきてくれました。
石を適切なサイズに採寸し、電動のこぎりでカット。粉塵吸引機に石から出る埃が吸い込まれていきます。そして石の小口を軽くカットして、穴を開けています。写真のように、仮止めの引っ掛けフックのための加工のようです。
水平測定器と糸と木材を使い、正確に石の配置を決めて、フックとモルタルで仮止めます。
外構の工事はある程度大雑把に施工するイメージでしたが、想像以上に緻密な作業でした。
位置が決まったら、砂とセメント、水を適切に混ぜて、躯体と石の隙間に挿入し、固定していきます。
玄関ポーチ階段最上段の蹴上部分に黒御影石の設置が完了すると、踏面部分にも石を配置していきます。
玄関ポーチ最上段の踏面と蹴上部分に石を配置できたら、侵入防止のテープを張り、最上段と同様の工程で、二段目の作業に入ります。
玄関ポーチ二段目の蹴上部分の配置を完了したら、二段目の踏面を設置する前に、一段目の踏面に着手。
一段目は道路と接するため、接道部分は石を斜めにカットしなければなりません。直角スケールとペンと糸を使い、丁寧に石を採寸。
玄関ポーチ階段一段目は、形状が斜めなだけでなく、強い勾配もあります。階段二段目の蹴上部分から道路との擦り付け部分に向けて、ゴム製のハンマーを駆使し、綺麗に擦り付けます。
また、モルタルが再び白華現象を起こさないよう、白華防止剤を加えた水を満遍なく散布します。
先ほどのフックは、踏面を固定した後に、外していました。
目地入れと仕上げ作業。
一段一段、一枚一枚、丁寧に同じ作業を繰り返し、玄関ポーチ二段目の踏面にも張り替え用の黒御影石を配置していきます。
水平測定器で設置した石が水平を保てているか、プラスチック製のスペーサーで、石と石の隙間は均一に保てているか、丁寧に確認しながらゴム製ハンマーで高さを調整しつつ、作業を進めます。
そして、写真の通り、全ての石の配置が完了しました。玄関ポーチ両脇は、角田さんからのご提案で、水や湿気の逃げ場として砂利敷きに変更することにしました。
引き続き、目地の処理に入ります。
白華防止剤を加えた目地材を作り、こてを使って石と石の間に埋め込みます。そして、水を含ませた大きなスポンジを使い、石についた目地材をふき取ると、綺麗にグレーの目地が入っています。
斜めにカットした石と、道路のL型側溝との取り合いも、綺麗に納まっていて、ミリ単位の職人技による美しさを感じました。
完成。いろいろ差し入れもいただきました。
目地の処理も完了し、両脇の砂利石の敷設だけは後日とし、一旦、工事は完了です。
完成した状況を、Mさんにご確認いただきました。Mさんからは、毎日お茶やコーヒーの差し入れをいただき、加えてお昼代などもいただきました。
Mさんご夫婦のお気持ちに感謝です。
1か月後に、再度状況を確認いたしましたら、玄関ポーチ両脇の砂利も敷かれていて、玄関ポーチ全体の色もしっとりと落ち着き、家全体に完全に馴染んでいる様子でした。
Mさんからは、「仕上がりにとても満足しています。施工中の都度確認や施工後の対応もしっかりしており、さすがです。依頼して正解でした。」とのコメントをいただきました。
完成から半年後のメンテナンス。
工事完了から半年経過後の12月、角田さんからアイビークラフトに連絡がありました。
この記事の画像を見て、セメントのアクが少し残っているようなので、アクを除去しに行きたいとのこと。
早速Mさんに連絡し、角田さんと日程調整をしていただき、アクを除去し、綺麗にしていただきました。
完了した工事のその後も誠実に対応してくださる角田さんに感謝です。
「頑張る」と「努力する」の違い
「頑張る」と、「努力する」って、非常に似てる気がするけど、私の中では意味を明確に分けて使っている。
「頑張る」
目の前の仕事をこなしている様。
今ある会社の型、今ある仕事の型の中で、一生懸命物事に取り組んでいる様。※個人の考えです
頑張ることは当たり前。仕事なんだから、手を抜く理由が無い。
だけど、その当たり前を毎日継続するのが難しい。だから、「頑張れる人」ばかりのメンバーで現在、仕事が出来ていることを誇らしいと思っている。
「努力する」
目の前の仕事を100%こなし、さらに与えられた仕事の型を超えて、日々改善する様。
「頑張る人」の行く末はだいたい予想がつくが、「努力できる人」はどうなるのか未知数。※個人の考えです
職人の世界のいいところって、行く末が未知数ってことだと、最近気づけた。
とはいえ、ただただ毎日「努力」しても向かう先が見えてないようでは、息切れしてしまう。
だからこそ、最初の目標設定が大切。
目標は「日本一の石工職人」
日本一という言葉は抽象的に思えて、私にとっては最も具体的な言葉である。
仕事に取り組む姿勢、施工する品質、施工のスピード、コミュニケーション力、全てにおいて、妥協をしないということ。自分に嘘をつかないこと。それが、職人を引退する日まで出来るかどうか。
今まで職人として仕事に向き合った姿勢は、自分の中では納得のいくものである。
常に、「日本一の石工職人」を目標に「努力する人」であり続けることを自分自身に約束する。
そんな、ブログを書いている私は、急性胃腸炎でベットに横になっています。
日本一の職人は体調管理もしっかりせねば。
求められるものと、求めるものの狭間で
我々は99%、関ヶ原石材の仕事をしている。
ごくまれに、他社の仕事を担当することもあるが、その都度思う。
「会社によって、全然仕事が違う。」
『妥協の無い施工』とかけ離れている現場を、現在担当している。
外壁、外部擁壁をボンドでペタペタペタペタ・・・
図面と現場が全然違う・・・
「こんな施工方法でいいの??」
「こんなその場しのぎの対応でいいの??」
と、思わせることばかり。
天然石ばかりを使用し、デザインも非常に凝っているものばかりの、マンション。
仕様を見る限り最低でも1億以上の値がするものばかりだが、品質は最低ランク。
パッと見た、『見た目品質』は変わらない。
大理石に囲まれて、重厚感があり、高級感があり、特別な空間を作り出しているという点は同じなのかもしれない。
しかしながら、『細部の見た目』、『施工の方法』に目を向けると、関わっている自分が不甲斐なく感じる内容だ。
求められるものは何なのか
お客さんからすると、求めているものは何なのか。品質は求められているのだろうか。
コストばかりを求められているのではないだろうか。
仕事を請ける建築は何を求めているのだろうか。工期ばかりを追うものの、行き当たりばったりで、管理出来ていないのが常。
石材を取り扱う会社は何を求めているのだろうか。とりあえず、施工完了すればいいという考えだろう。品質保証などという考えは皆無に近い。
お客さん(本物件であれば、不動産の所有者)はこれが求めていた物件だったのだろうか。とりあえず建物が建って、不動産としての収益が取れれば良かったのだろうか。
イケてない現場に共通すること
それは、建築の『管理』が出来ているのか、いないのか。工程の管理、図面の管理、品質の管理。お施主さんの管理。
イケてない現在の現場は、図面が全く現場と一致していない。現場に合わせてその場しのぎになっている。故に多大なるロスが発生している。
石材は柔軟に現場で対応できるものではない。特に現在の現場は、デザインに凝っており造作物の役物ばかり。
唯一無二の天然石なので、基本的には図面通りに工場で石を作り、図面通りに現場で施工する。そのために、図面は正確である必要があり、事前の打ち合わせと、その変更の対応が現場を左右する。
元請けも下請けも管理が出来ていない故に、現在の現場は品質など気にしてはいられない状況になってしまったのだろう。
職人としてのプライドを発揮できる現場づくり
会社には私も含めて職人がいる。会社を営んでいくためには、目の前の仕事をしっかりと対応していく必要がある。
とはいえ、この状況を蔑ろには出来ない。
このような現場が増えることとなれば、石材のブランドイメージは下がり、
正しくない施工方法を良しとすることで、職人の技術、知識低下を招くことになる。
いいことなど1つもない。
プライドを持てる仕事をし続けるためにも、テコ入れをしていきたい。
さあ、どうすれば。
職人が声を上げたところで、どうにもならないことは分かっている。
誰かを、組織を巻き込まないとビクともしない問題だから・・・ 続く
楽天辞めて5年。職人になっていま思うこと。
先日、現場に提出する書類を目にしたときにハッとした。
職人歴【5年1ヶ月】
5年前、結婚して、職人になったんだ。
人生の大きな転機を迎えた日から5年。
これまでの、職人としての5年間を振り返った。
人に恵まれた5年間
1年目【目の前のことにガムシャラ】
周りを見る余裕など無く、とにかく目の前のことに必死。力の抜きどころが分からず、体調をよく崩す。体育会系な面が合うなと感じていた。
2年目【新たな課題続出】
仕事の流れが分かることで、いろいろなことに手を出すも、職人としての技術の無さに直面。(今考えると当たり前)
職人向いてないと思い、負のルーティーン突入。
前職との比較をし始める。
・営業成績を評価してもらえていたこと
・恵まれた環境で働いていたこと
・小さい会社には無い待遇
↓
いま逃げたら笑いもの。家族もいる。
↓
歯食いしばってやるしかない。
妻に転職話をする事もしばしば。
相当、心配かけたろうな。
3年目【業界の変革を企み始める】
転職してからずっと抱えていた悩みが爆発したのがこの頃。
「なぜ、こんなにも非効率な業界なんだ」
「なぜ、こんな面白い仕事なのに知られてないんだ。」
そんな思いを、社長にブツけ。
そんな思いを、仲間にブツけ。
そんな思いを、元請けにブツけ。
いろいろやってみた結果、結論が出た。
「俺が業界の成功事例になってやる!」
そのためには、職人としてNo.1になる。
4年目【気合い入りすぎた1年間】
とにかく職人として成長することしか考えなかった。
上手くなりたい、早くなりたい。
誰よりも濃い時間にしてやろうと思った。
施工を本格的に始めると、先輩職人の背中が遠すぎて焦りも出始めたのが、この頃。
でも、毎日成長している自分が楽しかった。
5年目【肩の力を抜いてくれた後輩の存在】
初めて年下の後輩職人ができた事で、大きな変化が起きる。
職人としてレベルアップしたいために、気を張って仕事をしていた自分から、自然と肩の力が抜けた。
初めて身近に仕事の面白さ、やりがいを伝えられる相手が見つかった。
すると、自然と視野が広がり始めた。
6年目【仲間がいることで成り立つ自分】
気を張ってばかりで大事なこと忘れてた。
常に高いところを見て、突っ走るだけではいけないこと。
仕事に対する意識レベルが違う仲間を、見透かして自分自身突っ走るのではなく、
たまに立ち止まって、自分と同じベクトルに乗せることが必要なんだなって。
職人なりたての時に先輩職人に迷惑ばかりかけていたことを棚に上げて、突っ走っている自分がそこにいた。
今、自分が職人として立場を確立できているのは、関わる全ての『人』に助けられてきたんだなと。
これから始まる第二章
先月末、国家資格である『石材施工技能士1級』に合格した。
5年間の努力の結果と言っていいのだろう。
今までの5年間の成長スピードを上回る速さで、これからの5年間を過ごしていきたいと思う。毎日仲間に感謝しながら。
ブラ石工 in那須 -お湯の流れに身をまかせ-
社員旅行は恒例の温泉巡りの旅!
平均年齢50歳、オッサン8人がブラブラする2泊3日の旅日記です。※中身はありません
目的は一つ!
「湯治」
日頃身体を動かす仕事の我々には最高のひと時。
釣りして
※釣った川魚は「塩焼き」「から揚げ」で頂きました。
食べて
温泉入って
※46℃の熱湯風呂にて、地元の方から指導をいただきました。
出かけて
温泉入って
飯食って
ホタル見て
※時期が早く実際には8匹くらいしかいませんでした。
温泉入って
※混浴で、温泉の川に入るスタイル。秘湯。
そんなゆっくりとした時間を一緒に過ごす。
それぞれが何かを感じてくれていれば、それでいいと私は思っている。
「1つになってきてるなー」と、つぶやき、たそがれてみる。
建築石材業界の未来を創る -伝えることと壊すこと-
早いものでIT企業の営業マンから畑違いの石工職人になり、5年を迎える。
全体を束ねる立場になり、チームメンバーの幸せ、その家族の幸せを考えるようになり、新たな希望、新たな課題が生まれてきています。
これから先、10年後、30年後、次の世代で、業界がどうなっているのか。
今のままでも、仕事に恵まれ、人に恵まれ、職人人生を全う出来るかもしれません。しかしながら、業界を盛り上げるためには、日々改善しなくてはいけません。
我々の業界はとても魅力あるもの。にもかかわらず、まだ世の中に認知されていない。
仕事に対するプライドが湧いてきたんです。
建築石材業界の強み
建築石材業界の強みは大きく2つあると思っています。「特別な仕上げ材」、「高い技術」です。
基礎を作るために、石積みが行われていた時代から形を変え、現在では特別な仕上げ材です。西洋建築に石材を建築物の仕上げ材として用いるようになった明治時代から、天然石にしかない高級感、重厚感のある空間を生み出してきました。そして、天然石そのものが持つ魅力、高級である価値感を世の中に浸透させてきました。
その高級な石材を取り扱う我々は常に高い技術を求められてきました。建築現場で、紙1枚の誤差を調整しているのは石材業界だけです。
また、最も高級な仕上げ材であることから、設計士・お施主さんが求めるハードルも高く、常に高い技術を要します。
建築石材業界の危機
最近、満足できる仕事が出来ないでいます。100パーセントの仕上がりで無いからです。
直近で、こんなことありました。
400mm✕400mmの規格品の大理石をネムリ目地(目地なし)で壁の施工する仕事を請けました。しかしながら、製品が400mm✕397mmだったり、ひし形の形をしていたりと、とても我々の求められる仕事をする製品ではありませんでした。
できる限りの、仕上がりになったものの、とても満足のいく仕事ではありません。
仕事をすることで、得るものは何ですか?
「仕事の対価はお金」では、ありません。「仕事の対価は仕事」です。仕事をすることで、新たな仕事をもらえるのです。元請けはある程度のクオリティを求めていたのでしょうか。
我々は現場職人なので、ゼネコン、元請けの依頼で施工をします。工期・製品・図面・現場、様々な条件が決まっている中で最高のパフォーマンスを発揮します。
当社だけを考えれば、職人技術向上だけを考えればいいのですか、業界の未来を考えると、そうも言っていられないようです。
では、建築石材業界に明るい未来を見るには何をするべきなのでしょうか。
価格競争からの脱却
価格競争から最高品質保証へシフトしていかなくてはいけません。品質重視ではありません。徹底した品質管理から、最高の品質保証をする必要があります。
シフトをする上で、必要な項目は3つ。
①ブランド維持活動
②施工方法の標準化
③徹底した効率化
①は長期的施策、②.③は短期的施策となります。いずれも常に改善が必要な施策です。
①ブランド維持活動
品質管理の徹底はブランドを維持するために必要である。
仕事が仕事を生み出すためには、「製品のクオリティ」、「施工のクオリティを確保」、「納期の厳守」を必要とする。1つでも欠ければ信頼を得ることは出来ない。
また、情報においても常に気を配る必要がある。石の魅力、取り組みを一般の方に伝播する施策と同時に、施主、設計会社、ゼネコン のニーズを的確にキャッチし、ニーズにマッチした情報を提供していく必要がある。そして、その情報は常に新鮮でなくてはならない。❋具体的な施策は別途
実現すれば、仕事が仕事を生み出すサイクルが生まれる。
②施工方法の標準化
仕上がると、施工方法が全く見えない。随時、設計、ゼネコン、元請けが確認をしているが、計画されている施工方法が現場レベルで初めて間違いであることが発覚することがある。その都度、元請けの石材会社に対して指摘をしている。
これがあまりにも非効率なのである。指摘をした問題を横に展開しないために、同じ失敗を他の図面担当が起こしてしまうのである。
職人、工事、図面、営業、建築石材業界に関わる全ての人間で施工方法を標準化する必要がある。
実現すれば、誤った取り付け、手を抜いた取り付け方法を撲滅することが出来る。
③徹底した効率化
建築石材業界に限られたことではなく、建築業界において、非効率なことが多いように思える。直近の非効率事項を列挙してみる。
・図面は今だに紙媒体が主である
⇒データで共有できる。図面を運ぶ手間も省ける。
・不具合の度に、現場にて担当が対応している
⇒現場職人が、写真を添えて内容をデータで送信すればよい。
・同業者への伝達がスムーズでない
⇒LINEで、都度見える化
・調整事項が職長以外把握できていない
⇒搬入予定や、作業予定をデータで管理し、クラウドで共有すればよい
・他の人間が同じミスをする
⇒1人のミスは全体のミス 情報の横展開が出来るポータルサイトを作り共有
他の業界では当たり前に行われていることが、残念ながら我々の業界では出来ていない。この非効率な情況を打破しようと、当社で行っている効率化の成功事例を横展開を計画している段階である。
実現すれば新たな時間を生み出すことが出来る。
今より昔のほうが
ベテラン職人は、今より昔の方がいい仕事をしていると言う。「いまは難しい仕事が少なくなった」、「いまは手間をかけることが出来ない」という話を良く聞く。
ただ、私は悲観をしていない。時代によって様々なことが変化するから。
今の時代に求められている仕事を手を抜かずに施工し続けることで、業界の未来を創ることが出来る。「いつか昔より今のほうが」と言わせたい。
社内研修 in 忍野 『NO1 石材施工職人集団になるために』
4月3日〜4月4日 1泊2日でメイソンケイズ社内研修を行いました。
研修目的は『ナンバーワンカンパニーになるためのキックオフ研修』
研修内容は
『社員全員の正社員化について』
『石のスペシャリストになるために』
『2017年度の会社の動き』
この3点の内容で研修を行いました。
研修前にメイソンケイズ恒例行事
研修行う施設に向かう前に、富士山を堪能しつつ、水辺で石投げしてからメイソンケイズ恒例の温泉へ。
▲童心に帰り石を投げる面々
▲富士山曇って見えませんの画
日々の疲れを温泉で癒し、ご当地グルメでお腹を満たせます。
食後は山梨名物『信玄ソフトクリーム』。信玄餅ファンにはたまらない一品でした。
お昼寝もしっかり行い、体力ゲージが回復したところで研修を行う宿泊施設へ移動です。
富士山をバックに研修スタート
社長机に座り、皆がそれを囲むように座ったタイミングで、
プライベートモードから、現場でのミーティングモードへ。
▲研修中の一服の様子
内容は今後のブログ記事に小出しにしていくとして、いつもと変わった雰囲気に20代から70代の当社社員が積極的に研修に参加していた様子はとても誇らしい光景でした。
リラックスタイムも若手にとっては有意義な研修
当社の強みは何と言っても、どこに出しても恥ずかしくない優秀な人材が所属しているということ。
ベテラン職人のお話は、誰もが知っている大規模現場や、有名建築物を施工しているので非常に勉強になります。
ベテラン職人の昔話は、我々若手職人にはとても貴重な勉強材料なのです。
現在は存在しない、50年前は当たり前であった施工方法や、
昔の石材施工においての失敗話など、現在の施工に生かせることばかりでした。
いつもの現場での指導とは違って、石材施工を広く学べる時間。これは定期的に今後も作っていきたいと思います。
▲足湯に浸かりながら昔話をしてくれる先輩
▲研修後のピザパーティでも色々な話が
まとめ
1人前の石材施工職人になるためにはスキルとナレッジ、
2軸の育成カリキュラムが必要であると考えます。
しかしながら、現場で実務をこなしながら技を習得する職人という世界は、
どうしてもスキル向上ばかりを強化しようとしてしまいます。
メイソンケイズでは、石材のプロフェッショナルを育成するために、
ナレッジについてもスキル向上と同様に力を入れていくことを、研修で決定いたしました。
図面通り、お施主さんの意向通りに最大限のクオリティで施工することがプロフェッショナルでなく、
計画に問題があれば、自らが問題定義を行い、提案を行うことができる職人。
また、お施主さんのニーズを汲み取り、最適な提案を行うことが出来る職人。
そんな職人集団にしていくことが、メイソンケイズの新たなる目標です。
具体的なアクションはまた次のブログ記事にて。
ブログ筆者個人的には更なる飛躍が確実であると感じることが出来たと共に、総じて楽しい時間を過ごすことが出来ました。
皆さん、明日からも頑張ろう!