求められるものと、求めるものの狭間で
我々は99%、関ヶ原石材の仕事をしている。
ごくまれに、他社の仕事を担当することもあるが、その都度思う。
「会社によって、全然仕事が違う。」
『妥協の無い施工』とかけ離れている現場を、現在担当している。
外壁、外部擁壁をボンドでペタペタペタペタ・・・
図面と現場が全然違う・・・
「こんな施工方法でいいの??」
「こんなその場しのぎの対応でいいの??」
と、思わせることばかり。
天然石ばかりを使用し、デザインも非常に凝っているものばかりの、マンション。
仕様を見る限り最低でも1億以上の値がするものばかりだが、品質は最低ランク。
パッと見た、『見た目品質』は変わらない。
大理石に囲まれて、重厚感があり、高級感があり、特別な空間を作り出しているという点は同じなのかもしれない。
しかしながら、『細部の見た目』、『施工の方法』に目を向けると、関わっている自分が不甲斐なく感じる内容だ。
求められるものは何なのか
お客さんからすると、求めているものは何なのか。品質は求められているのだろうか。
コストばかりを求められているのではないだろうか。
仕事を請ける建築は何を求めているのだろうか。工期ばかりを追うものの、行き当たりばったりで、管理出来ていないのが常。
石材を取り扱う会社は何を求めているのだろうか。とりあえず、施工完了すればいいという考えだろう。品質保証などという考えは皆無に近い。
お客さん(本物件であれば、不動産の所有者)はこれが求めていた物件だったのだろうか。とりあえず建物が建って、不動産としての収益が取れれば良かったのだろうか。
イケてない現場に共通すること
それは、建築の『管理』が出来ているのか、いないのか。工程の管理、図面の管理、品質の管理。お施主さんの管理。
イケてない現在の現場は、図面が全く現場と一致していない。現場に合わせてその場しのぎになっている。故に多大なるロスが発生している。
石材は柔軟に現場で対応できるものではない。特に現在の現場は、デザインに凝っており造作物の役物ばかり。
唯一無二の天然石なので、基本的には図面通りに工場で石を作り、図面通りに現場で施工する。そのために、図面は正確である必要があり、事前の打ち合わせと、その変更の対応が現場を左右する。
元請けも下請けも管理が出来ていない故に、現在の現場は品質など気にしてはいられない状況になってしまったのだろう。
職人としてのプライドを発揮できる現場づくり
会社には私も含めて職人がいる。会社を営んでいくためには、目の前の仕事をしっかりと対応していく必要がある。
とはいえ、この状況を蔑ろには出来ない。
このような現場が増えることとなれば、石材のブランドイメージは下がり、
正しくない施工方法を良しとすることで、職人の技術、知識低下を招くことになる。
いいことなど1つもない。
プライドを持てる仕事をし続けるためにも、テコ入れをしていきたい。
さあ、どうすれば。
職人が声を上げたところで、どうにもならないことは分かっている。
誰かを、組織を巻き込まないとビクともしない問題だから・・・ 続く